土地(エリア)紹介
かつて鉄砲の生産地として栄えた堺。「ものの始まりなんでも堺」と称され、刃物や線香を含むものづくりの伝統が今も息づいている。2025年には前方後円墳を空高くから望む「おおさか堺バルーン」も始まり海外観光客からも注目されている。
焼印香る、堺生まれのもちもち和菓子
防腐剤をできるだけ使わない安心な和菓子づくりを心がけている。古墳焼には、抹茶味やチョコ味などの季節限定商品も。
めくれるミカンの練切。「目の前の人が気づかないうちに完成させることが重要なんです」と前田さん。
しっとりとした生地のもちもち食感と、口いっぱいに広がるあんこの軽やかな甘み。そこから焼印の芳ばしい風味がふんわりと香る――。愛らしい古墳の焼印が目を引く「古墳焼」は、小麦粉に餅粉を混ぜた生地に自家製のこしあんをサンドした地元で大人気の堺土産。創業100年の老舗和菓子屋「宝泉菓子舗」3代目代表で和菓子職人の前田さんこだわりの一品です。
焼印のモチーフは堺が誇る日本最大の前方後円墳。2019年に「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録された約一年後に「古墳焼」の販売がスタート。シンプルながら親しみやすいデザインはすぐに反響を呼び、堺の定番和菓子として今も変わらず愛されている。
「古墳焼」誕生のきっかけは、市で働く前田さんの知人からの「堺土産となる和菓子を作ってほしい」という依頼だったそう。
「実はその5年ほど前に、思いつきで古墳の焼印だけ作っていたんです。改めてその焼印をどうしようか考えていたとき、たまたま声をかけてくださった。交流のある業者さんや市の方たちと協力しながら完成した『古墳焼』なので、特に思い入れがある商品ですね」
店内の様子
宝泉菓子補 外観。
前田さん(左)と入社4年目になる宝泉では最年少の和菓子職人の女性(右)。
イベントやマルシェへの出店や和菓子体験の開催などで積極的に地域で交流する前田さん。体験に参加した子どもたちや専門学校でのレクチャーのほか、海外でも和菓子の魅力発信に取り組んでいるという。
そんな前田さんが大切にするのは、「職人は頑固になっちゃいかんよ」という先輩職人たちの教え。
「好きなように作っているだけだとわがままになってしまう。でも人と関わると人間として成長できるだけでなく、一人では絶対に思いつかないようなアイデアに繋がったりするんです。一番はお客様に『美味しい』と思ってもらうこと。そのためにも、いろんな人の話を聞くようにしていますね」
さらに和菓子は、「コミュニケーションのツール」になると語った。
「僕自身あんこを触っていないとほんとに喋らないんです(笑)でも、和菓子を通じて楽しんでもらえたり『美味しい』と言ってもらえるとすごく嬉しいので、どんどん交流していきたいですね。それに、和菓子を買ってくれた人や体験した人にとっても、その日の話のネタになったり、会話のきっかけになれば幸いです」
どうすればもっと美味しく食べてもらえるか、どうすれば楽しんでもらえるか。和菓子の魅力をどうやって伝えようか。前田さんはそんな想いで、今日も和菓子と向き合っている。
かつて鉄砲の生産地として栄えた堺。「ものの始まりなんでも堺」と称され、刃物や線香を含むものづくりの伝統が今も息づいている。2025年には前方後円墳を空高くから望む「おおさか堺バルーン」も始まり海外観光客からも注目されている。